この度「人口戦略会議」から【令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート」による資料が公表されました。
レポートの中の分類において「消滅可能性都市」とされるリストがあります。これが最新の調査では、全国にある744の自治体が該当するという結果になりました。
さて僕の住む新潟においてはどんな結果になったのか確認していきます。
消滅可能性都市とは
2020年から2050年の間に、移動仮定における若年女性減少率が50%を超える自治体のことです。
この移動仮定というのは、移動傾向つまり若年女性人口の流出と置き換えて考えても良いでしょう。この若年女性人口の流出傾向が続くと仮定した時の減少率が50%を超えると想定される自治体が「消滅可能性都市」として分類されます。
消滅可能性都市の中の分類
消滅可能性都市と分類された自治体の中でもさらに細かい分類があり、こちらは封鎖人口の減少率による分類です。名称はないのですが、移動仮定・封鎖人口ともに減少率が高ければ、極めて危機的な状況にあると思われます。
この封鎖人口による減少率というのは、人口の移動を仮定せず、出生・死亡のみの要因で人口がどう推移するかを想定したものです。
前回の調査からの変化
約10年前の2014年に公表された前回の調査結果からどんな変化があったのでしょう。
前回、896の自治体が該当していたが、最新の調査では744が該当と、数値上は改善が見られています。しかしながら、分析レポートでも触れられているが、女性の出生率が減少を続けており、実態として少子化基調は全く変わっていないことに留意する必要があります。
新潟の調査結果
レポートによると、新潟には30の自治体があるが、そのうち半数を超える18の自治体が該当するとされています。
かつては人口日本一にもなったことのある新潟県ですが、昨今は人口減少の波に抗えず厳しい状況が続いています。
消滅可能性都市の一覧
下記の表にまとめてみました。
自治体 | 移動仮定 | 封鎖人口 |
---|---|---|
小千谷市 | 50.7% | 25.5% |
加茂市 | 63.8% | 34.0% |
十日町市 | 56.7% | 18.8% |
村上市 | 60.4% | 27.5% |
糸魚川市 | 55.3% | 23.4% |
妙高市 | 62.7% | 27.4% |
五泉市 | 60.1% | 38.3% |
阿賀野市 | 54.8% | 31.4% |
佐渡市 | 60.5% | 18.0% |
魚沼市 | 59.3% | 24.7% |
胎内市 | 52.5% | 27.3% |
田上町 | 70.2% | 44.2% |
阿賀町 | 77.2% | 34.8% |
出雲崎町 | 62.9% | 17.2% |
湯沢町 | 51.1% | 31.5% |
津南町 | 54.2% | 15.0% |
関川村 | 65.3% | 16.2% |
粟島浦村 | 50.0% | +15.4% |
減少率の一番高い数値を赤字にて記載しました。
極めて危機的な自治体は?
この調査においてかなり危機的状況と言える自治体は「田上町」と「阿賀町」と考えられます。この二つに自治体においては前回の調査からの改善傾向も見られません。
良好な状況の自治体は?
総人口が少ないので、一概に良好と考えるのは早計ですが、「聖籠町」と「刈羽村」のみ移動仮定における減少率が20%代となっているため、新潟県内に限り数値上の良好状態と考えられるのではないでしょうか。
聖籠町では手厚い子育て支援などの政策がありますので、効果が表れているのでしょう。刈羽村は僕も詳しくないのですが、柏崎原発の所在地のため、原発関係の従事者が移り住んできているのが影響しているのでしょうか。
新潟全体としての傾向
新潟県内において、移動仮定の減少率がプラス方向の自治体は皆無です。県庁所在地である新潟市ですら減少率33.4%と決して良いとは言えない数字が出ています。
封鎖人口での減少率も粟島浦村以外はマイナスです。
前回の調査より改善傾向のある自治体はちらほらと発見できますが、人口減少に歯止めをかけるほどの改善には至らないということですね。
まとめ
この調査結果により新潟県が置かれている現状がわかりました。
幸いにも今回の調査で消滅可能性都市に該当しなかった自治体であっても、該当しないだけで人口減少傾向は続いており、また何年後かに再度同様の調査が行われた際には、県庁所在地である新潟市でも該当する可能性があると感じました。
今現在が危機的な状況にないからまだ大丈夫と楽観的に考えるのではなく、今後必ず訪れるであろう危機に対して今から備えておくことが重要かと思われます。