【繁殖規制の進むキャバリアキングチャールズスパニエル】国王の名を冠する英国原産の愛玩犬、その魅力と成り立ち
その美しい毛並みと愛くるしい風貌から、長らく英国王室にて寵愛を受けてきたキャバリアキングチャールズスパニエル、名の通りまさに高貴な犬種である。似た犬種で短頭種らしい顔立ちのキングチャールズスパニエルから派生した犬種が、現在のキャバリアである。
JKC(ジャパンケネルクラブ)では愛玩犬として分類されており、ブレンハイム・ルビー・ブラックタン・トライカラーの毛色のみ認められている。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル | 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ (jkc.or.jp)
【ルーツ】
こうまで愛されるようになったキャバリアの歴史は古く、さかのぼるとフランスの狩猟犬であるブリタニースパニエルをルーツに持つことがわかる。フランスからスペインに渡り、その後イギリスにてトイ・スパニエルとして現在の姿になった。鳥猟犬の血を引いているためか、嗅覚に優れ、運動も大好きである。
【体型】
平均5~8kgで小型犬に分類されるが、中型犬と分類されてもおかしくない。個体差が激しいように感じる。今まで会った子の中で1番大きかった子はなんと17kg。
【性格】
とても穏やかで友好的、散歩も遊びも大好きで他の犬や人間にも仲良くできる印象と良く書かれているが、やはりどんな犬にも個性はあるもの。少数派だと思うが、我が家の王子は活発だが一人でおもちゃ遊びが好きであまり他の犬や人間が好きではない。若い頃から幼稚園で勉強したりと経験は積んだが、彼の性格なのだと思う。
【食欲】
かなりの食いしん坊。知り合いのどのキャバリアもみんなそうだと言っていたので間違いないだろう。去勢・避妊をすると太りやすくなるため、特に注意が必要。運動と食事制限は必須。
【お手入れ】
ロングコートであり体重も中型犬に近いことから、シャンプーなどは乾かすのも大変で手間がかかる。抜け毛も多いため、こまめなブラッシングも欠かせない。また垂れ耳のため、夏場などの湿気の多い時期などは耳の中が汚れやすくなるため、外耳炎などにかかりやすいので、寝ている時などにそっと耳をあげてやるといいだろう。
【しつけ関係】
頭がいいため、コマンドや芸などはすぐに覚えるほうで、食欲が旺盛のため、ご褒美のためならなんでもする。飼い主が好きすぎて寂しがり屋の面もあるため留守番は苦手らしい。分離不安にならないためのトレーニングや飼い主の勉強が求められる。
【好発性の病気など】
遺伝的に僧帽弁閉鎖不全症などの心臓病になりやすいと言われており、キャバリアの約6割が発症するとされている。ただこの統計には疑問が残るが、キャバリアで心臓病を発症する確率はかなり高い。神奈川のある動物病院のHPにこの病気について詳しく載っているので、キャバリアオーナーなら目を通しておいてもいいだろう。
愛犬が「僧帽弁閉鎖不全症」と診断されたら読む本 | JASMINEどうぶつ総合医療センター (jasmine-vet.co.jp)
その他キアリ奇形・脊髄空洞症と呼ばれる遺伝疾患病もあるが、発症率は高くないとされているが、MRIでの検査が必要なことや症状に差があることから、飼い主が気付いていないことも多いと思われる。重度になると安楽死も考えなければいけない場合もある病気だ。
簡単にまとめたが、キャバリアとは愛玩犬としてかなり優秀である一方、過剰交配によるその遺伝的な健康上の理由から繁殖は「残酷」だとし、繁殖を禁止する国もある。
2022年、北欧ノルウェーでは事実上の禁止とされた。
以下は動物保護協会からの指摘である。
- 繁殖は身体機能と健康の良好な特性を促進するものでなくてはならない
- 動物の身体的および精神的機能に悪影響を与える方法で遺伝子を変化させる、またはそのような遺伝子を伝える育種をしてはいけない
- 自然な行動をするための動物の能力を低下させてはならない
動物愛護の動きが強まっている現在、いつかは日本やその他の国でも規制は進むと思われる。この愛くるしいキャバリアが日本から姿を消す日が来ると思うと、悲しくて仕方がないが、犬のことを考えると繁殖禁止には賛成である。
今後他の記事にて触れることにするが、原産国英政府では悪徳ブリーダーから救出されたキャバリアのルーシーにちなんだルーシー法と呼ばれる規制がイングランドに導入され、ウェールズなどにもその活動は広がり始めている。